へい、らっしゃい。 <昨日うなだれていたお客>
よ、お客さん、いやー 嬉しいね、きてくれて。
今日も専用ラーメンでいい、
えっ、 普通の? 普通でいいの? ??
あっそ。
<いつものように大将はこの前と同じく楽しそうに、身振り手振りを交えながら「世界で一つだけの花」を口ずさみツーコーラスを歌いながら、ラーメンをゆっくり作った>
しかし、歌詞は「ありがとう」の連続であった。
へい、お待ちぃ。
今日も美味しいよ、熱いからね、チャーシューはサービスだぜ。
どうだい、うめーだろー。
うちのラーメンはね実はそのときによって味が変わるんだ、作り手の気持ちと食べ手の気持ちで。
<大将はなんとなく客の目頭に光るものを感じ
しゃがんで器を洗い始めた、同じ歌を歌いながら>
ありがとう、おつゆまで全部食べてくれて嬉しいよ、
はい、600円丁度ね
また、今の時間きてね、今度の味が楽しみさ
ありがとう